月命日(11箇月目)

Category : 吐息とも吐かないつぶやき

月命日の墓参りも11回目になり、ほぼ季節が一巡しました。

墓地を吹く風はまだ時よりひんやりするものの、陽射しも明るく、とうとう「春」がやってきたようです。

春は空気や水がぬるんで外に出ても気持ちがいいし、生き物の営みも一度リセットされて
「新しい始まり」を自然と意識する季節です。

僕は春に生まれたこともあってか、四季の中では春は好きな季節でした。
ただし、無邪気にそうに思えたのはもう過去のことです。


2、3日前のこと、
あかねの実家の近くまで用事があったので、ついでに立ち寄りました。
そこであかねの母親が漏らしたのは、

「この季節はとくにつらい」

という言葉でした。

そしてそれは、ここ最近、僕もいやというほど実感していたことでした。
(過去の記事を見直したら、一箇月前にその兆候が表れていました)

陽射しが柔らかくなるにつれ、嫌でも一年前の記憶が蘇ります。
ベッドの上のあかねの顔を思い出します。

去年の今頃は季節の移ろいに対してまるで気が回りませんでしたが、体はしっかり覚えているのか、
一年前に肌に触れていた空気のぬくもりが再度めぐってくると、その感触とセットで記憶されていた情景が自然と脳裏に浮かんできます。

一年前から、僕にとって、春は「新しい始まり」の季節ではなく、「終わり」を告げる季節になってしまいました。

早く歳をとることになってもいいから、もう今後の人生では、春をすっ飛ばしてもらうわけにはいかないだろうか?
春にはなんの責任もないけれど、もう僕の前は素通りしてほしい。
そんな屈折したことを考えてしまいます。


・・・しかし、そんなふうに春を敬遠したい気持ちを抱いておきながら、今日、あかねの実家のお隣に咲いていた梅に思わず足を止め、しばらく魅入ってしまいました(その上写真まで撮ってしまいました)。

どれだけ春に背を向けたくてもそれは必ずやってくるし、たくさんの花を咲かせて振り向かせようとします。

正直に告白すれば、梅を見ながら「きれいだな」と素直に思いました。
春という季節につらい思い出があったとしても、きれいな花には魅せられます。
浮き立つ気分には到底なれませんが、慰められてはいるのかもしれません。


あかねとは、一年でいちばん花が咲き誇る季節に「さよなら」をしました。
大体の場合そうなんでしょうが、旅立ち前のあかねの棺は、ほんとうにいっぱいの花々で埋め尽くされました。
(いっぱいの花の中に浮かぶあかねの顔が、僕がこの世で見た最期のあかねの顔です。ほんとにかわいかった。)

あかねはいっぱいの花とともに旅立って逝きました。
棺の中だけでなく、街のあちこちにも、火葬場の花壇にも、この世のいたるところで花が溢れている季節に。
今思えば、たくさんの花たちが、それまでのつらい闘病をねぎらってくれているようでした。

そう思うと、春を拒みたいというかたくなな気持ちも少しはゆるんでくる気がします。

確かに僕にとって春はひとつの「終わり」を象徴する季節になったし、この想いを完全に振り払うにはまだまだ時間がかかると思います。
でも、あかねにとってはどうだったのだろう?
この世での生の終わりと同時に、天国での新しい生の始まりだったのかもしれません。

そう思うようにしよう。
そして、いつか春を素直に受け止められるようにしよう。

今日はそんなことをとりとめなく考えた日でした。

20120319_1.jpg


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3月20日に秘信をくださった方へ

3月20日に秘信をくださった方へ

コメントありがとうございました。

同じ境遇の方々の「言葉」には、同じものを抱え込んでいる人たちでないと分かち合えない感情が確かに滲んでいて、スッと心に入ってきます。

悲しみと共存すること。

そうですね。
僕もこの一年近く、心の針の振幅を繰り返しているうちに
「きっとこの“揺れ”とは一生付き合っていくのだろうな」
と思いました。

悲しみをたずさえて生きることが自分の残りの人生、であることに腹を括ること。

そんな強さをまとえるようになりたいと思います。
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これまでにほんブログ村の「子宮がん」カテゴリに参加していましたが、思うところがあり、登録をはずさせていただきました。ご了承ください。
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Author:むらさきせいじ
2011年春、妻をなくした40代です。
本当に本当にありふれた人間ですが、人生の半ばともいえる40代で世界中でいちばん大切な人を喪失したことはそれなりに特異なことだと思います。
そんな状況におかれた心情を綴っていくことで少しでも心が解放されたらと思っています。
プロフィールのサムネ画像は、妻が描いた僕の顔です。

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