夜の病院で

Category : 吐息とも吐かないつぶやき

昨日の土曜日も仕事でしたが、その二日前の木曜日が義父の腰の手術だったため、仕事帰りに見舞いに寄りました。

手術は8時間くらいの長時間におよび、その日の夜は身体に装着された管の違和感や、全身麻酔後の気分の悪さで一睡もできなかったそうですが、昨日の段階ではそれらの苦痛も和らいでいたようです。

面会時間終了まであと20分くらいという時間で病室に入ったため、手術が無事終わったことを確認して短時間で病室をあとにしました。

エレベーターに乗り一階で降りて出口まで歩きはじめた時、
よみがえってくる記憶がありました。

そして、あかねとの最後の半年間のことを思い浮かべて、気持ちが沈んでいくのを感じました。


ひとりでひと気のなくなった病院の中を歩く、という状況を去年の秋から今年の春までの半年間で僕は何度も経験しました。

病院こそ違いますが、大半の照明が落ち薄暗くなった病院特有の雰囲気とリノリウム貼りの廊下に響く自分の足音は、それほど前のことではない自分の体験を思い出させるには充分です。

あかねが癌の宣告を受けた日、
あかねのために何をすればいいのか?このことを誰と誰にどう伝えようか?とぼんやりした頭で考えながら歩いた病院の廊下。

入院中のあかねの病室を去るとき、
今日はあかねの調子は悪かったけど、明日はきっと良くなっているに違いない、と根拠のない希望を見出そうとしながら歩いた病院の廊下。

あかねの病室に泊り込んで、なかなか寝れない夜、気分転換に煙草を吸いに外に出るとき、
あかねのこの先の運命をぼんやり考えながら、でもまったく冷静に頭が回らず、(おそらくは)無表情・無感情で歩いた病院の廊下。

「もしも」の話をしてもしようがないのですが、もしあかねが癌から生還できていたら、病気を克服して退院の日を向かえることができていたら、、、
僕はこれほどまでに夜の病院の雰囲気に心を重くするようなことはなかった、と思います。

むしろ、薄暗かろうが、ひと気がなくて寂しかろうが、病院の出口に向かう道のりは、入院・闘病という息苦しく胸が痛むような日々から、ささやかな幸せを積み上げていく二人の平穏な日常に帰るための光に満ちた道のりとして僕の心に刷り込まれていたと思います。


もう、あかねは帰ってこないんだな。


病院の廊下をとぼとぼ歩きながら、何度も反芻したそんな当たり前の想いをまたあらたにして、病院をあとにしました。

何度も書いてしまいますが、これからが本当にあかねを失ってしまった喪失感とのせめぎあいになりそうです。
僕の心はどこに向かうのか?
本当に本当に、自分でもわかりません。



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コメント:

主人と出会ってからの24年間、主人の存在があることが私の人生でした。肺ガンで今年の二月に41歳で亡くなり、私もだんだん、喪失感がつよくなり、正直、今苦しいです。そんな矢先にガン患者会シャロームさんのブログからこちらを知りました。時々拝見させていただきます。皆さん頑張っているんですね。

Re: タイトルなし

さくらさま

コメントありがとうございます。

旦那さんのこと心よりお悔やみ申し上げます。

僕も苦しいです。このブログを訪れる方の多くの方も苦しさを抱えていることと思います。

でもその苦しみ対して、さくらさんがおっしゃっておられるように、僕に限って言うと決して頑張っているわけではありません。
むしろ、このブログを通して泣き言を吐き出しています。

吐き出して、吐き出して、かろじて世間とのバランスを保っている感じです。

自分の胸の中に溜め込んだままで世間と向き合っても、自分が抱えている感情とのギャップが大き過ぎてきっとまともに人と接することができないような気がします。
人との接触がさらに自分の孤独感を助長する気さえします。

今は逢えなくなった自分にとって大切な人に向き合う時間と、世間に対する時間はまったく別の時間です。
そんな別々の時間を、僕はスイッチを入れ替えながら過ごしている感じです。

そしてこの先、僕は前者の時間帯を増やしていけるようにしたいと思っています。

その経過をこのブログに刻んでいけたらと思います。

よかったら、また立ち寄ってみてください。

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これまでにほんブログ村の「子宮がん」カテゴリに参加していましたが、思うところがあり、登録をはずさせていただきました。ご了承ください。
プロフィール

むらさきせいじ

Author:むらさきせいじ
2011年春、妻をなくした40代です。
本当に本当にありふれた人間ですが、人生の半ばともいえる40代で世界中でいちばん大切な人を喪失したことはそれなりに特異なことだと思います。
そんな状況におかれた心情を綴っていくことで少しでも心が解放されたらと思っています。
プロフィールのサムネ画像は、妻が描いた僕の顔です。

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