最期に心を通じあわせた夜

Category : あかねの闘病について

→前回の闘病記はコチラをご覧ください

今回の記事は、「闘病記」としての時系列の時計を若干前に戻します。


あかねを個室に移して間もなくだったと思います。

僕はあかねの病室に泊まりこむようになっていました。

食事は昼は病院内のパン屋さん、夜は近くのスーパーで弁当・惣菜系を買って、食べました。
朝は・・・もう忘れましたが、食べない日もあったと思います。
あかねの両親が、何か食べ物を差し入れてくれることも多々ありました。
自宅は車で20分くらいと近いので、3日程度ごとに自宅に帰りシャワーを浴び、洗濯をして2~3時間後にはまたあかねの病室に戻る・・・というような日々を送るようになりました。

そんなある夜、
その頃あかねはすでに鎮痛剤の影響で、明瞭に言葉を発することが困難で、僕も正確に聞き取ってやることができませんでした。
なので、いつもは聞き役一辺倒な僕ですが、その夜だけは僕があかねに語りかけました。

僕が、これまでのあかねと過ごした時間の中で印象的だったことを、あの時はこうだった、こう思っていた・・・とあかねに話しました。

あかねが初めて僕の部屋に来たときのこと、
僕があかねのことを好きだと自覚したときのこと、

そして、これからもあかねと一緒にいたいということ。

今にして思うと大変な失態ですが、僕は泣きながら話していました。

あかねは感じたと思います。
状況がよくないことを。

自分本位の行動だったかもしれません。
でも、僕はあかねが僕の話を、気持ちを、はっきりと理解してくれるうちに伝えておきたかった。
考えたくはなくても、万一のことを考えざるをえない時期でした。
だから、僕は僕の気持ちを、いつもはとても恥ずかしくて言えないことも伝えておきたかった。

あなたは、僕にとってかけがえのないない人だということを。
そして、これからも僕ら二人の部屋で一緒に暮らしていきたいということを。

うまく話せたか、うまく伝わったかはわかりません。
でも、ひとしきり好き勝手にしゃべった後、もうすでに自力で動くことがほとんどなくなっていたあかねが、ベッドに横たわっているあかねの顔の上でしゃべっていた僕の首に両腕を回してくれました。

あかねはうまくしゃべれない代わりに、僕の首に腕を回してくれることで、意思を示してくれました。


あかね、おまえは本当にどこまでも優しいな。
本当に大好きだ。

僕は彼女のことが人として大好きです。
明るく、朗らかで、他人に優しくて。

僕は彼女が生きている時に彼女と一緒に生きていることの素晴らしさに自覚的になるべきでした。
もっと、僕の素直な気持ちを言葉で彼女に伝えるべきでした。
こんな切羽詰った時でなく。


あかねと二人きりで、まとまった時間を費やして意思を交わせたのはこの夜が最期だったと思います。

あかねの前で泣いてしまったけれど、切羽詰ってしまった時期になってしまったけれど、ここで伝えていなかったら、僕は一生消すことのできない後悔を残していたと思います。

もちろん、あかねを救うことができなかったという悔しい気持ちは、僕を死ぬまで解放してはくれませんが、この夜がなかったら、僕はすぐにあかねの後を追っかけてでも、僕の気持ちを伝えにいこうとしたかもしれません。

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コメント:

No title

せいじ様
>僕は彼女が生きている時に彼女と一緒に生きていることの素晴らしさに自覚的になるべきでした。
>もっと、僕の素直な気持ちを言葉で彼女に伝えるべきでした。
>こんな切羽詰った時でなく。
私も心の底からそう思います。失ってから妻の存在の大きさに気づき、呆然とするばかりです。
私の妻はホスピスに入院して3ヶ月で行きましたが、妻が感じであろう死の苦しみを少しも分かってあげられなかったと思うと、すぐにでも後を追いたい気持ちになってしまう・・・
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むらさきせいじ

Author:むらさきせいじ
2011年春、妻をなくした40代です。
本当に本当にありふれた人間ですが、人生の半ばともいえる40代で世界中でいちばん大切な人を喪失したことはそれなりに特異なことだと思います。
そんな状況におかれた心情を綴っていくことで少しでも心が解放されたらと思っています。
プロフィールのサムネ画像は、妻が描いた僕の顔です。

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