サイレン

Category : 吐息とも吐かないつぶやき

今しがた、サイレンの音を聞きました。


僕が生涯一度だけ呼んだ救急車。

それは、あかねを乗せるためでした。

秋の夜明け前、廊下でうずくまるあかねが、か細い声で僕を呼び、
救急車を呼ぶように懇願しました。

急いで119番に電話し、
尋ねられるままに対応しました。

その間、

あかねは、少しでも痛みが癒えそうな畳敷きの部屋ではなく、
なぜか冷たく堅いフローリングのリビングに這っていき、
そこでうずくまりました。

後で、
「そうか・・・」
と思いました。

彼女は、自分の出血で畳を汚したくなかったんだと思います。
たとえ汚してしまったとしても、掃除のしやすいフローリングに身を横たえたんだと思います。

本当にバカです。

痛みに耐えながら、
部屋が汚れることを考えていた、大バカあかね。
自分が苦しみのただ中にいる時も、自分のせいで迷惑をかけまいとしていたあかね。
バカには違いないけど。
僕はこんな人が大好きでした。
そして、今も大好きです。


ジリジリとしながら待った救急車が到着し、
でも、
なかなか受け入れ先が決まらず、
救急車は望むように進みません。

救急隊員の方が、
「むらさきさん!今、病院探しているから!もう少し我慢してね!」
と懸命に励まし、
僕はと言えば、あかねを撫でてやることしかできませんでした。
本当に役立たずなバカ者は、僕でした。


また別のサイレンの音が聞こえました。

今、救急車で横たわっている人に、再び健康な日々が訪れますように。
横たわっている人の傍で狼狽している人に、再び安堵が訪れますように。


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コメント:

No title

むらさきさんはバカ者じゃないですよ。
わたしも、もしパパが生きていて、そばにいてくれたら、
そばにいてくれるだけ、撫でてくれるだけでも
安心したとおもいます。

救急車、サイレンの音
不安な思い出しかありません。

いつもブログを読ませていただいて
あかねさんへの思いが伝わってきます。
あかねさんは幸せなひとです。

Re: No title

うらんさん

コメントありがとうございます。

いつか空に昇れたら、僕たちはお互いに先に昇ったひとたちに
懺悔ですね。

まずは、
「すまん!」
と。

どんなに尽くしても、
結果が結果なら、
後悔は残ります。


赦してくれる。


と思いますよ。

でもって、
もう一度はじめられると思います。
(そう願っています。)

なんたって相手は仏さまです。


うらんさん。

うらんさんが今抱えいる不安や悲しみに対して、
僕は、こうして文章でしかお伝えできませんが、

天国の旦那さんや、
うらんさんのブログに訪れられている皆さんが
うらんさんを見守っておられる、
と思います。

お気持ちを吐き出すことで、
少しでも、軽くなるなら、
躊躇なく吐き出していきましょう!

僕もそうします。
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プロフィール

むらさきせいじ

Author:むらさきせいじ
2011年春、妻をなくした40代です。
本当に本当にありふれた人間ですが、人生の半ばともいえる40代で世界中でいちばん大切な人を喪失したことはそれなりに特異なことだと思います。
そんな状況におかれた心情を綴っていくことで少しでも心が解放されたらと思っています。
プロフィールのサムネ画像は、妻が描いた僕の顔です。

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