例えばこういうこと_その2 決してギヴ&テイクではなく

Category : 吐息とも吐かないつぶやき

数日前のことになりますが・・・
新しい職場の同僚であるS君(32歳)が、男性であるにも関わらずスゥイーツ作りが趣味だと聞き、生前あかねが使っていたお菓子作りの道具を譲り渡しました。

自炊はしますが、さすがにスゥイーツ作りまでには手を伸ばせない僕は、あかねの使っていたスゥイーツ調理道具をあるがままに保管しておくほかなかったのですが、その道具達の役目をしっかりと果たしてくれる人が見つかり、
「ぜひ使ってくれ!」と譲り渡すことを申し出ました。

実際に調理道具一式を彼に見せたところ、
「ぅおおーーー、これ欲しかったんですよぉ!」
と、何に使うかも僕にはよくわからないツールを見て喜んで引き取ってくれました。

「奥さん、本当に本格的にお菓子を作られてたんですね・・・。」
とS君につぶやかれた時は切なくなりましたが、喜んで譲り受けてくれる人が見つかって良かったな、と思いました。


さて、ほぼそれと時を同じくして、僕はあかねが生前はめていたリングを仕事中にうっかり変形させてしまいました。
詳しい説明は省きますが、仕事中固い二本の鉄柱に挟んでしまい、円形のリングが一部いびつに凹んでしまいました。

以前の記事にも書きましたが、生前あかねの指にずっとおさまっていたリングで、あかねの最も形見らしい形見として、独りになってからは僕がずっと小指にはめていたものです。
変形しても指にはめられないことはありませんが、何とか元通りにならないかなー・・・と思いつつ、僕と同じようにリングをはめていた件のS君に、
何気なく、
「こんなに変形したリングを直してくれるとこってあるかなー?」
と訊ねてみました。

すると、偶然にもアクセサリー制作を仕事にしている知り合いがいて、その人に頼んでみてくれるとのこと。


その後、実際に形をいびつにしたリングは、彼の計らいでアクセサリー職人の手によりしっかりときれいな円形に修復され、本日僕の手元に戻ってきました。
しかもピカピカに磨き上げられていて・・・。

リングの修繕はS君(とその知り合い)の好意であり、お金は必要ないとのことで、僕もその言葉に甘えさせてもらいました。

夜、家に戻り、自分の指にはめる前にあかねの仏前にリングを置いて、僕があかねに贈った当時と同じくらいの輝きをしたリングを見せてやりました。

「うっわー!きれいになったなせいじくん!」
そんな声が聞こえてきそうでした。


たまたま僕がS君にお菓子作りの道具を譲り、時を同じくして彼があかねと僕のリングの修繕を買って出てくれたことは、
損得を基準に生きている人にとってはひとつの「取引」に映るかもしれません。


でも、僕は彼があかねの道具を喜んで引き取ってくれて、おそらくは自分の趣味に存分に利用してくれるであろうことに、「本当に良かった」と思えたし、
彼は彼で、僕の妻の形見と容易に想像できるリングの修復を気持ちよく買って出てくれました。
彼の気持ちには、遺品を譲り受けたことへの「お返し」意味合いがあったこととは思いますが、
それは決して「取引」ではありません。

僕とS君のの間で交わされたのは感謝と感謝の行き来であって、二人ともに良質な感情を抱けたんじゃないかと思います。

人と人とのかかわりに喜びを見出すことを、もう一度信じられる出来事でした。


今日はせわしない仕事中にリングを返してもらったので、たいしたお礼も言えませんでしたが、明日もう一度改めて彼には感謝の意を伝えたいと思います。


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12月9日に秘信をくださった方へ

12月9日に秘信をくださった方へ

はじめまして。
コメントありがとうございます。

コメントフォームにてお返事させていただきます。
ご了承ください。

僕はこのブログでは、“自分の気持ちに「誠実」に書く”ことを唯一の掟にしています。
本当に自分が感じたことは何か?
自分が思ったことは何か?
を、できうる限り率直に文章として残したいと思っています。
ですので、本当に“これは書き残しておきたいこと”と思い立ったときにしか書いていません。
(というか、書けません。)

そんな「独りよがり感」に支配されたブログですから、同じような死別体験者の方の同調を得ようとか、体験者としてのオピニオンをぶちまけようとか、といった大それたことは発想としてありません。
基本的に「独り言」とあまり変わりないレベルです。
天国で妻と再会できた時のお土産になればいいかな・・・
という程度のもんです。

でも仮にそんな「独り言」だとしても、閲覧者の方から思いがけず同調の意を示していただくと、やっぱりそれは嬉しいことです。
励みになります。
改めてコメントありがとうございました。

このブログの文章についてお褒めのお言葉もいただきましたが、いやいや、我が妻あかねの綴る文章のほうが断然読み応えあります。
妻も以前ブログを書いていて、以前このブログのどこかで書きましたが、いつか紹介したいと思っていました。
今回頂いたコメントに触発されて、そのことを思い出しました。
妻のブログへのリンクを貼ろうと思います。

ただし、今日はもう夜が更けたので後日実行します。
よろしければ、そちらも覗いてみてください。

今日はとても寒い一日でした。
どちらの地方にお住まいか存じませんが、季節柄ご自愛ください。
これからもよろしくお願いします。
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お知らせ
これまでにほんブログ村の「子宮がん」カテゴリに参加していましたが、思うところがあり、登録をはずさせていただきました。ご了承ください。
プロフィール

むらさきせいじ

Author:むらさきせいじ
2011年春、妻をなくした40代です。
本当に本当にありふれた人間ですが、人生の半ばともいえる40代で世界中でいちばん大切な人を喪失したことはそれなりに特異なことだと思います。
そんな状況におかれた心情を綴っていくことで少しでも心が解放されたらと思っています。
プロフィールのサムネ画像は、妻が描いた僕の顔です。

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