哀しみは手放さない

Category : 吐息とも吐かないつぶやき

「Take me home」
という曲があります。
あかねと僕のふたりともが好きだったTom Waitsという人が書いて、Crystal Gayleという人が唄った1分半程度の短い曲です。

あかねが好きな曲でした。

曲の中で女性が男性に「家に連れて行ってほしい」と懇願します。


家に帰ること。

入院闘病中のあかねが、どれほどそれを強く望んでいたか・・・。

そして僕も心から彼女を家に連れて帰りたかった。


けれど・・・結局ふたりの願いは叶いませんでした。


出棺前の最期のお別れの時、
あかねへの慰めとか、生きて連れ帰してやれなかった懺悔の気持ちとか、その時渦巻いていたいろんな感情を込めて、
この曲を葬儀会場に流してもらいました。

参列者の方々の中で、葬儀会場に流れるBGMに何らかの意味を見出した人はいなかっただろうと思います。
でも構いません。
この曲を流すことで、あかねと僕自身のふたりだけの交信ができればそれで良かったからです。


その日以来、この曲は僕にとって、あかねを象徴する曲になりました。
この曲を聴くと、やっぱり切なく哀しい気持ちに襲われます。

それでも繰り返し聴いてしまうのは、やはりあかねのことを心に強く鮮明に思い描きたいからです。
それが例え「哀しみ」という感情であったとしても、彼女のことをいつまでも強く心に焼き付けていたい。


ずいぶん前から自覚はしていました。

僕は「哀しみ」から解放されることを望んでいるわけではない。

あかねの声や、ささいな仕草や、僕の顔を見上げた時の笑顔が、時の流れとともに記憶の彼方へ霞んでいくことの方が、僕にとっては哀しみに襲われることよりもよっぽど怖いことです。

「哀しみ」を手放すつもりはありません。
「哀しみ」という強い感情が、僕自身のあかねへの記憶を引き留めてくれるなら・・・
静かに「哀しみ」に浸ることに、僕は躊躇しません。


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コメント:

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No title

ご無沙汰しております。

ご就職おめでとうございます!!
良かったな~と思っています。良かったです、ほんと。あかねさん、きっとほっとしていますね。

「哀しみ」を手放せない。よ~く分かります。
手放せません、私も。哀しみから解放される日がいつかくるよって言われた事があります。私は夫が居ない哀しみからは解放はないと想いましたその時。
哀しみと共存しながら、日々明るく笑って行けたらと。笑顔で夫との再会を楽しみにしています。会った時に、これまで抱えてた哀しみを会えた嬉しさをぶつけたいです。

お仕事頑張ってください!!

11月8日に秘信をいただいた方へ

11月8日に秘信をいただいた方へ

はじめまして。
コメントフォームにて返信させていただきます。
ご了承ください。


お辛いことと思います。


“立ち直る”とはどういう状態のことを言うのでしょうか?

僕は思います。

以前の自分に戻るなんて不可能です。

僕の一部は妻に、妻の一部は僕に在ったと思います。

ふたりでひとつの存在だった・・・と思ってます。

思いあがりと言われても構いません。

でも、確かに僕はそう思っています。

妻は僕の一部とともに空のまだその上に昇っていきました。


だから、もう、僕は以前の自分に戻ることはありません。

「新しい自分」になる。

人生の残された時間を、やり過ごすには、この手立てしかないような気がします。


抽象的なもの言いで申し訳ありません。

よろしかったら、また立ち寄ってみてください。

コメントありがとうございました。

Re: No title

serenaさん

こんばんわ。

コメントありがとうございます。

働き始めて、2週間ほど経ちました。
やっぱり、「労働」は尊いです。
ひととの関わりは大切です。

ほんの少しだけかもしれませんが、俗世で生きるためのに「再生」している感じがします。



“いつまでもくよくよするな!”
“いつまでも哀しんでると奥さんが心配するよ”

ふざけんな!俺が哀しんでやらなくて、誰がこの先何十年もあかねのことを想い続けてやるんだ!
てめぇら、耳障りのいい言葉だけ吐きやがって!

・・・と思います。

これから先、この世に生きる人たちの記憶からあかねのことが次第に薄らいでいっても、
僕は死ぬその瞬間まで、絶対に、あかねのことを想い続けます。

No title

むらさきさん!

ほんと、その通りですね!!

私達が悲しまなくて、だれがここまで本気で毎日想い続けるんでしょうかね。
居ない事の現実は一生辛いのです。

自分たちにしか分からないですね。

頑張って生きましょうね、再会まで。

お仕事頑張って下さい!!

Re: No title

serenaさん

コメントありがとうございます。

お返し遅くなりました。

残された者が哀しみ続けることを、空に昇ったひとは望んでいるのか?
僕にはわかりません。

でも・・・
・・・あくまで個人的な感覚ですが、
喪った人への「想い」を、いちばん激しく、いちばん強く吐き出せるのは、
悲しいことにやはり「哀しみ」です。

あかねのことを強く強く想うとき、それはいつも哀しみとともにあります。

僕らの住んでいたマンションからみえる街路樹が紅葉に染まってきれいです。
「この景色をふたりで眺められたら・・・」
今朝もそんなことをぼんやり考えて、それが決して実現できないことに思い至ってまた哀しみに浸りました。

けれど、それでいい・・・・と思います。

哀しみが消えない限り、僕の中であかねは生き続けます。
ずっとずっと消えないように、そっと胸の中でほのかに灯し続けていきたいです。
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まとめ【哀しみは手放さない】

「Take me home」という曲があります。あかねと僕のふたりともが好きだったTom Waitsという人が書いて、Cr
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プロフィール

むらさきせいじ

Author:むらさきせいじ
2011年春、妻をなくした40代です。
本当に本当にありふれた人間ですが、人生の半ばともいえる40代で世界中でいちばん大切な人を喪失したことはそれなりに特異なことだと思います。
そんな状況におかれた心情を綴っていくことで少しでも心が解放されたらと思っています。
プロフィールのサムネ画像は、妻が描いた僕の顔です。

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