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前回から一箇月近く更新が滞ってしまいました。

この間、取り立てて何ごともない静かな日が続いたわけではなく、せわしく日々を過ごしていました。


前回の記事に書いたように、11月下旬に母親が入院する事態となってしまいました。

入院したのは、実家近くのいわゆる「かかりつけ医」だったのですが、入院後思ったように症状が好転せず・・・
また、当初聞かされた「心不全」との話も、「もう少し様子を見ましょう」の繰り返しで詳しい原因等の説明も聞けず・・・

痺れを切らした母親自身の希望で、12月初旬、県下でも(いやひょっとしたら西日本でも)心臓病治療で高名な大きな病院に移ることになりました。

この転院手続きには一日付き添いました。


実はこの際ひと悶着ふた悶着ありました。


ひとつは、かかりつけ医での入院中、弟が見舞いとして大量に病室に持ち込んでいた大量のサプリメントや健康食について。

病院食に馴染めず、症状が良くならないことからも食が細っていた母親のことを想ってのことだとは思いますが、
服用する薬自体も数多い中、さらに錠剤を飲むことが母親にはストレスだったようで、母親は一切手をつけていませんでした。
また、病院で処方された薬との飲み合わせで薬の効果に悪影響を及ぼす可能性もゼロとは言えません。

転院にのぞんで、退院する病室を片付けていた時に偶然見つけて、あまりに思いつき的で軽率な弟の考えに腹が立ち、その晩電話で弟を怒鳴りつけました。


もうひとつは、転院先に差し出す「かかりつけ医」の紹介状について。

転院日当日、
母親の意向を汲んでかかりつけ医の院長は、「(紹介状を)すぐ用意します」と母親と僕に気前良く言いました。

前日までに、転院希望の母親の意思は担当医を通じて院長にすでに伝わっているはずでした。
母親が、はじめてセカンドオピニオンの希望を担当医に示した際に居合わせた弟によると、担当医自身もそれを勧めているような好意的なニュアンスだった・・・
と聞いていた僕は、ある程度事前準備をしていてくれていたのだなと考え、
ならば・・・と急いで退院の片づけをして、あとは紹介状を受け取って、その足で転院先の外来受付時間に余裕を持って転院先に向うつもりでした。

しかし、病院から指示された待合で待てど暮らせど、紹介状が手元に届きません。

我慢強く待ちましたが、たまらず受付で、
「あとどのくらいで紹介状をいただけますか?」と尋ねると、
「もう少しだと思いますのでもうしばらくお待ちください」と曖昧な返答。
そこから一時間近く待って、もう一度尋ねると、
「今院長がチェックしているのでもうしばらくお待ちください」という少しだけ具体的にはなっただけの返答。
そこからさらに30分以上待って、
「もうそろそろ、こちらを発たないと転院先の外来受付時間に間に合わないんですけど」
と再度受付に強く訴えると、
「少々お待ちください」と言い残し、一階の受付から二階に向かうと一分もしないうちに紹介状の封筒を抱えて降りてきました。

確信しました。
“おまえら、絶対ひとを待たせていることを気にしてなかったろ?”

だいたい、転院先の外来受付時間はこの病院の看護師から得た情報であり、
「間に合うように行ってくださいね」
と言っていました。

“なら、なんでギリギリの時間まで待たす?それも決して軽くない病状の人間を長時間待たす?”

この病院の姿勢に対し、一言言ってやらないと気が済みませんでした。

「時間がかかるならかかる、と言ってくれないとこっちは時間を無駄にしてしまう」

言葉と声の大きさはひかえましたが、呪詛のように受付のひとに言い伝えました。
(まあ、受付に言うのもかわいそうではあるんですが、誰かに訴えざるを得ない気持ちを抑えられませんでした)


・・・そんなこんなで、その後飛び込むように転院先の外来窓口で受付をしてもらいました。

病状が病状だけに緊急外来で受け付けてもらい、すぐに各種の検査を母親は受けました。

その間、僕は緊急外来の待合で数時間ずっと待っていました。

“今日は「待つ」だけの一日だったなー”
と待ち疲れてぼんやりした頭でそんなことを考えていた頃、ようやく医師に呼ばれ検査結果を踏まえた説明を受けました。


病名は「肺血栓塞栓症」。
脚にできた血栓が、めぐり巡って肺動脈で詰まってしまった、との説明でした。

“あっさり答えが出てきたよ・・・”

100%の確証は得ていないが・・・というただし付きでしたが、「心不全」を引き起こす具体的な病名が外来に飛び込んで数時間後に聞くことが出来ました。
母親の「心不全」は心臓自体には問題がなく、肺の動脈に詰まった血栓が原因であることが理解できました。
そして、それを踏まえての今後の具体的な治療方針も聞くことが出来ました。

“やっぱ違うなー”

前の病院ではモヤモヤとしていた状況が、これらの説明により一気に視界が開けた感じでした。


母親はその日からその病院に入院することになったわけですが、
都合がいいことに、この病院は僕の住まいから車で10分程度の距離です。

休みの日はもちろん、仕事の日も2、3日おきに仕事からの帰り道に病院に寄りました。

入院当初は、まだ胸苦しさでぐったりしていた母親ですが、一週間経ち二週間経ち、日を追うごとに元気になっていきました。
病室は4人の相部屋でしたが、ほかの患者さんと楽しげにおしゃべりするくらい普段と変わりない母親に戻っていきました。


そして今日、退院の日を迎えることができました。

今日も一日、母親に付き添い、担当医からも退院後の日常生活に関わる注意事項をしっかりヒアリングし、実家まで母親を送り届けました。

もちろん退院したからと言って、歳も歳ですし、「根治」を伴う退院ではなく、今後の食事や水分の摂取の仕方や薬の服用にもこれまでにない注意を払う必要があります。
でも、退院できるほど回復したことは確かです。
外の空気を吸えただけでも、母親にとっては心が洗われるところがあったのではないかと思います。
僕も、なんだかんだあったこの一箇月のひとつの区切りがついた思いでした。




あかねにも「退院の日」はありました。

外科手術の後、抗癌剤治療に移る前の一時退院と、抗癌剤治療をスタートした直後の万が一に備えた短期入院の後の退院。

特に、最初の一時退院の時は嬉しかったな。
ほんとうに嬉しかった。
「嬉しかった」
そうとしか、今書き残せません。
その感情しか、想い起こすことができません。


あかねの最初の退院から5年が経ちました。


記憶は時間の経過とともに、細部が失われていきます。

でも、

「嬉しかった」

というあの時の感情の「芯」はいまでも鮮明です。
それだけ舞い上がるような「嬉しさ」だったんだな、と思います。

あかねにまつわる感情の「芯」を、僕が失われない限り、僕は僕らしく生きていけると思います。


この度の母親のことを、あかねの両親に話したところ、

「あんたが、さっさと再婚してたら、お母さんのそばで面倒を見てくれるひとがいるのに!」

とお義母さんに冗談交じりで言われてしまいました。

“いや、ごもっともですけどね。それじゃあ俺が俺じゃなくなるような気がするんだよ”

とは口にせず、笑って応えました。


独りもんではあるけれど、僕は僕にできることを親達には捧げていきたい。

一足先に天国に逝ったあかねが、
「長い人生、お疲れしたぁ」(←あかねならこんな言い方をしそう)
と親達をのどやかに迎え入れられるように。

僕は僕にできることを続けていきます。



あかねもきっと見守ってくれているだろう。

「せいじくん、とりあえずお疲れ。でもこれから先、まだまだ長いでっ!」

写真立ての中のあかねがそう言っているような気がします。

「わかったよ。でもぜんぶやり終えたら、また逢ってくれよ。」


こんな会話を夢想して、僕はこれからも自分を奮い立たせていきます。




<お詫び(=言い訳)>
久しぶりに更新したと思ったら、とても長い記事になってしまいました。
とりとめがなく、必要のない情報も書き残しています。推敲もろくにしてません。
今回のこと、何か文章として残しておきたかった気持ちのままに書き綴った結果、このような整理のつかない記事になってしまいました。
でも、自分がいろいろと巡らせた想いは潜んでいると思います。
こんなとっ散りかった長文に最後までお付き合いいただいた方、ありがとうございました。


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むらさきせいじ

Author:むらさきせいじ
2011年春、妻をなくした40代です。
本当に本当にありふれた人間ですが、人生の半ばともいえる40代で世界中でいちばん大切な人を喪失したことはそれなりに特異なことだと思います。
そんな状況におかれた心情を綴っていくことで少しでも心が解放されたらと思っています。
プロフィールのサムネ画像は、妻が描いた僕の顔です。

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