月命日(35箇月目)・・・後悔の季節
Category : 吐息とも吐かないつぶやき
陽射しが高くなって、
晴天でも、空は真っ青ではなくて、霞がかっていて淡くくすんでいて、
梅の花が咲いていて、
墓地の木々からはウグイスの声が聞こえてきて・・・
完全に春が訪れました。
あれから、3度めの春になります。
春の空気に包まれると、3年前の記憶がことさら鮮明に蘇ってきます。
今日の月命日の墓参りのあと、
あかねの実家でお義父さんとお義母さんが、
普段は滅多にしないのに、
闘病中のあかねの話を、つぶやくように、ぽつりぽつりと、噛み締めるように話し合っていました。
ふたりも、春の空気に過去の記憶を掻きたてられたのかもしれません。
僕は、ふたりの話を聞きながら、
もう、辛くて、
一言も口を挟めませんでした。
“後悔”の念が滲み出た言葉も交わされました。
でも、いちばん“後悔”しなければならないのは、
僕です。
あかねのいちばん近くにいた僕です。
あかねが倒れて、医師から病名を告げられるまで、
あかねの変化を気付いてやれなかった僕こそ、
愚かな夫でした。
ただ一度だけ、あかねが倒れる以前、
あかねの下まぶたの辺りがクマがかっていて、プツプツと吹き出ものようなものもできていることが気になって、
「目の下、どしたん?」
と尋ねたことがあります。
「オバサンのただのシミよぉ」
あかねの冗談めいた返事に、
「ふーん、そんなもんなのかな?」
としか思わなかった僕。
あの時、
「病院で診てもらったら?」
とか、
「長いこと健診してないんだから、一回受けてきたら?」
とか、
の一言を掛けていたら・・・
ひょっとしたら、その後の僕等ふたりの人生は、今とはまったく違ったものになっていたかもしれません。
もう随分前のことですが、
僕がひどい腹痛を引き起こし、会社を休むことにした時のこと。
あかねに車を運転してもらって病院にいく道すがら、仕事の引継ぎをしたかったので会社に立ち寄りました。
あかねを車に待たせて、僕は引継ぎの打ち合わせのために会社に入りました。
その打ち合わせが少々長引いてしまい、ついにはあかねが僕の携帯に怒りの電話をしてきました。
「いつまで仕事やってんの!早く病院に行かんと!」
会社を後にしたその足で病院の診察を受けた結果、虫垂炎だと診断されました。
「すぐ手術します」
と医師から言われ、
「入院になるなら、一度ウチに帰ってきていいですか?」
と尋ねたら、
「いえ、すぐ切ります!下手をしたら腹膜炎を併発します」
と言われ、即刻手術台に載せられました。
僕の虫垂は破裂寸前だったようでした。
あの時、あかねが怒って電話してこなかったら・・・
僕の虫垂は破れて腹膜炎を引き起こしていたかもしれません。
今、この時のことを思い出すとき、
僕の気持ちは、後ろめたさと悔しさでいっぱいになります。
あかねの僕を心配する真剣さが、僕を大病の危険から救ってくれた。
それに引き替え僕は・・・。
もう、何を想っても、取り返しはつきません。
今の僕に出来ることは、
あかねに負けない真剣さで、あかねを愛し続けて、あかねが迎えに来てくれるような生き方をすることだけです。
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晴天でも、空は真っ青ではなくて、霞がかっていて淡くくすんでいて、
梅の花が咲いていて、
墓地の木々からはウグイスの声が聞こえてきて・・・
完全に春が訪れました。
あれから、3度めの春になります。
春の空気に包まれると、3年前の記憶がことさら鮮明に蘇ってきます。
今日の月命日の墓参りのあと、
あかねの実家でお義父さんとお義母さんが、
普段は滅多にしないのに、
闘病中のあかねの話を、つぶやくように、ぽつりぽつりと、噛み締めるように話し合っていました。
ふたりも、春の空気に過去の記憶を掻きたてられたのかもしれません。
僕は、ふたりの話を聞きながら、
もう、辛くて、
一言も口を挟めませんでした。
“後悔”の念が滲み出た言葉も交わされました。
でも、いちばん“後悔”しなければならないのは、
僕です。
あかねのいちばん近くにいた僕です。
あかねが倒れて、医師から病名を告げられるまで、
あかねの変化を気付いてやれなかった僕こそ、
愚かな夫でした。
ただ一度だけ、あかねが倒れる以前、
あかねの下まぶたの辺りがクマがかっていて、プツプツと吹き出ものようなものもできていることが気になって、
「目の下、どしたん?」
と尋ねたことがあります。
「オバサンのただのシミよぉ」
あかねの冗談めいた返事に、
「ふーん、そんなもんなのかな?」
としか思わなかった僕。
あの時、
「病院で診てもらったら?」
とか、
「長いこと健診してないんだから、一回受けてきたら?」
とか、
の一言を掛けていたら・・・
ひょっとしたら、その後の僕等ふたりの人生は、今とはまったく違ったものになっていたかもしれません。
もう随分前のことですが、
僕がひどい腹痛を引き起こし、会社を休むことにした時のこと。
あかねに車を運転してもらって病院にいく道すがら、仕事の引継ぎをしたかったので会社に立ち寄りました。
あかねを車に待たせて、僕は引継ぎの打ち合わせのために会社に入りました。
その打ち合わせが少々長引いてしまい、ついにはあかねが僕の携帯に怒りの電話をしてきました。
「いつまで仕事やってんの!早く病院に行かんと!」
会社を後にしたその足で病院の診察を受けた結果、虫垂炎だと診断されました。
「すぐ手術します」
と医師から言われ、
「入院になるなら、一度ウチに帰ってきていいですか?」
と尋ねたら、
「いえ、すぐ切ります!下手をしたら腹膜炎を併発します」
と言われ、即刻手術台に載せられました。
僕の虫垂は破裂寸前だったようでした。
あの時、あかねが怒って電話してこなかったら・・・
僕の虫垂は破れて腹膜炎を引き起こしていたかもしれません。
今、この時のことを思い出すとき、
僕の気持ちは、後ろめたさと悔しさでいっぱいになります。
あかねの僕を心配する真剣さが、僕を大病の危険から救ってくれた。
それに引き替え僕は・・・。
もう、何を想っても、取り返しはつきません。
今の僕に出来ることは、
あかねに負けない真剣さで、あかねを愛し続けて、あかねが迎えに来てくれるような生き方をすることだけです。
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