「Take me home」
という曲があります。
あかねと僕のふたりともが好きだったTom Waitsという人が書いて、Crystal Gayleという人が唄った1分半程度の短い曲です。

あかねが好きな曲でした。

曲の中で女性が男性に「家に連れて行ってほしい」と懇願します。


家に帰ること。

入院闘病中のあかねが、どれほどそれを強く望んでいたか・・・。

そして僕も心から彼女を家に連れて帰りたかった。


けれど・・・結局ふたりの願いは叶いませんでした。


出棺前の最期のお別れの時、
あかねへの慰めとか、生きて連れ帰してやれなかった懺悔の気持ちとか、その時渦巻いていたいろんな感情を込めて、
この曲を葬儀会場に流してもらいました。

参列者の方々の中で、葬儀会場に流れるBGMに何らかの意味を見出した人はいなかっただろうと思います。
でも構いません。
この曲を流すことで、あかねと僕自身のふたりだけの交信ができればそれで良かったからです。


その日以来、この曲は僕にとって、あかねを象徴する曲になりました。
この曲を聴くと、やっぱり切なく哀しい気持ちに襲われます。

それでも繰り返し聴いてしまうのは、やはりあかねのことを心に強く鮮明に思い描きたいからです。
それが例え「哀しみ」という感情であったとしても、彼女のことをいつまでも強く心に焼き付けていたい。


ずいぶん前から自覚はしていました。

僕は「哀しみ」から解放されることを望んでいるわけではない。

あかねの声や、ささいな仕草や、僕の顔を見上げた時の笑顔が、時の流れとともに記憶の彼方へ霞んでいくことの方が、僕にとっては哀しみに襲われることよりもよっぽど怖いことです。

「哀しみ」を手放すつもりはありません。
「哀しみ」という強い感情が、僕自身のあかねへの記憶を引き留めてくれるなら・・・
静かに「哀しみ」に浸ることに、僕は躊躇しません。


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プロフィール

むらさきせいじ

Author:むらさきせいじ
2011年春、妻をなくした40代です。
本当に本当にありふれた人間ですが、人生の半ばともいえる40代で世界中でいちばん大切な人を喪失したことはそれなりに特異なことだと思います。
そんな状況におかれた心情を綴っていくことで少しでも心が解放されたらと思っています。
プロフィールのサムネ画像は、妻が描いた僕の顔です。

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