当然のことながら、あかねがいなくなってからは家に帰っても晩ご飯の用意はされていません。

外で食べて帰るか、自炊するかの二者択一になるのですが、帰りの時間がそこそこ早ければ極力自炊するようにしています。
やはり外食よりも安くつくということもありますが、それとは別に理由があります。

僕はこの5ヵ月近く豚肉・牛肉の類を口にしていません。

それは、あかねの病状がいよいよ切羽詰ってきた頃、僕なりにあかねの力になりたくて、癌の食事療法について書かれた本を読んだことがきっかけです。
実際に、癌患者に効用のある食事を作り、あかねに食べさせてやろうと思い立ったわけです。
→関連の過去記事はコチラ


その本には動物性たんぱく・脂質を厳しく制限することが説かれていました。
詳しいことは割愛しますが、四足歩行動物の脂質やたんぱく質の摂り過ぎは癌を引き起こす原因となりうるそうです。
その本に掲載されていたレシピ例には一切豚肉・牛肉は出てきません。

あかねに食べさせるべく、その本を頼りに料理の練習をして実際に食べていた僕は、豚肉・牛肉に、大げさに言えば憎悪的な感覚さえ抱くようになっていったのだと思います。

つまり、「おまえらは(豚肉・牛肉のこと)あかねを苦しませている原因のひとつだ」、とみなしてしまったのです。

(僕の住んでいる近隣で、外食だとファミレスや牛丼屋くらいしかなく、肉類が混入されていないメニューが極端に限られているので、食べられるものがほとんどありません。結果自ら食事を作らざるを得なくなったのです。)

結局あかねには一口も僕が作った食事を食べさせることは出来ませんでしたが、その時の自炊の習慣だけは定着し、今でも極力台所に立っています。
そしてその材料には一切豚肉・牛肉は使いません。
たんぱく質は大豆たんぱくとか、魚とか、鶏肉の胸肉・ささみに限定しています。

食事療法の本には、そのほか塩分の制限や料理に使用する油類の制限、反対にすすんで摂りたい食材(野菜・果物・玄米など)について多岐に説明されていましたが、いちおう今現在は健康体である僕にはそこまで細かく神経を尖らせることはないと思います。

でも、豚肉・牛肉だけはやはり口にしようとは思えません。
それは自分の健康を気にしてのことではありません。
そもそも、(怒られるかもしれませんが)長生きしたいという気持ちは今年の4月19日に一切消え失せました。

それでもこだわってしまうのは、やはりそれらの食材があかねの病気を引き起こした一因となっているのではないかとの固定観念にとらわれてしまっているからです。

いつかこの“禁”を解く日が来るかもしれませんが、当分その日は来ないような気がします。


今日は早く退社できたので、三日ほど振りに自炊しました。

しめじとえりんぎとじゃがいも、えだまめを具にしたキッシュと、ささみとブロッコリーのからしマヨネーズ和え、さつま芋の塩茹で(←茹でるだけで簡単でおいしいので何度も食卓にあがります。さつま芋はちょっと高いけど・・・)が今日の献立でした。

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むらさきせいじ

Author:むらさきせいじ
2011年春、妻をなくした40代です。
本当に本当にありふれた人間ですが、人生の半ばともいえる40代で世界中でいちばん大切な人を喪失したことはそれなりに特異なことだと思います。
そんな状況におかれた心情を綴っていくことで少しでも心が解放されたらと思っています。
プロフィールのサムネ画像は、妻が描いた僕の顔です。

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